日本企業の韓国進出と聞くと、どんなイメージがありますか?
きっと製造業の拠点としてのイメージも強いのではないかと思います。
今回は最近の日系企業の韓国進出事情について注目してみようと思います。
2018年9月、日本でも人気の高い超低価格SPAブランド「GU」が韓国へ進出したことはご存知でしょうか?
GUは9月14日、ソウル蚕室(チャムシル)ロッテワールドモール地下1階に1号店をオープンして、オープン前からSNSなどを中心に話題を集めていました。
GUはユニクロブランドを運営している日本ファーストリテイリングが2006年に作ったSPAブランドで、コストパフォーマンスの高い製品を中心に日本では知名度も高く、ユニクロと共に人気のショップです。
兄弟ブランドの「ユニクロ」はアジア地域を中心に1,200店以上を出店しており、韓国内でも186店舗を展開しています。
一方、GUの海外店舗は中国、台湾、香港の19店舗のみでしたが、今回の韓国進出を契機に今後はユニクロのすぐ近くにGUの店を出すことで集客力を高め、事業の成長を狙う考えです。
韓国では、日本のホテルが続々とオープン、着工が進んでいます。
中級ホテルが不十分な韓国の事情や日本人観光客の需要増が背景にあると言えますが、日本ならではのサービスが日本人のみならず中国人観光客や外国人観光逆にもうけているようです。
相鉄グループが運営するホテル「相鉄ホテルズ・ザ・スプラジール・ソウル明洞(ミョンドン)」が2018年2月にオープンしました。
韓国銀行(韓銀)の向かい側にあるこのホテルは旧ゴールデンチューリップ・エムホテルを改築したものです。
2018年5月にはソウル仁寺洞(インサドン)でホテル呉竹荘が営業を始め、このほかソウル明洞ミリオレのビルを改築した「ルワジールホテル」、ソウル・釜山(プサン)など全国9カ所にホテルを保有する「東横イン」、ソウルに2カ所のホテルがある「ドーミーイン」などもすべて日本系のホテルです。
ホテル業界によると、ソウル麻浦(マポ)路1区域第12、13地区再開発事業を進行中のコース麻浦(マポ)PSVは2234平方メートルの事業地に地下4階-地上24階の商業ビルを建てると言います。
コース麻浦PSVはこのビルの用途をホテル341室、オフィス105室に決め、麻浦区庁に申告し、事業費は総額1680億ウォン(約168億円)だそう。
コース麻浦PSVのイ・ヒョンヨン代表は「ビルが建設されれば日本の大和ハウスグループに30年間賃貸する予定」と明らかにしていています。
大和ハウスグループは住宅建設、賃貸、リゾート、ホテルなどの事業を手掛けている。日本だけでビジネスホテル52件、リゾートホテル28件、ゴルフ場10件を保有しており、韓国の最初のホテルはビジネスホテルのダイワロイヤルになるという。
化粧品口コミサイトの大手「@コスメ」を運営するアイスタイルは2018年6月に初の韓国店舗を出店しました。
1号店となる店舗は免税店を手掛ける韓国のホテル新羅(シーラ)と提携し、新羅免税店内に店舗を構えています。
既にほか3店舗の出店が決まっており、今後さらに店舗数を増やす予定だそう。
アイスタイルでは化粧品の口コミサイトのほか、化粧品の口コミ情報を活用してリアル店舗を国内外で展開しており、日本国内では「アットコスメストア」の店名で、ルミネ池袋店(東京・豊島)など都市部を中心に25店舗を展開しています。
日本国内のアットコスメストアには日本人客のみならず、外国人観光客の集客も多く、こうした訪日客(インバウンド)需要の拡大を受けて、アジアでの店舗出店を強化しており、今回韓国への進出を展開しています。
また、今回の韓国出店で展開された「アットコスメ ジェイ ビューティ パーク」は幅広い日本のコスメの品ぞろえが特徴で、主なターゲットは韓国へ旅行中の中国人観光客だそう。
最初に出店するソウル本店では中国で人気の高い「フローフシ」など、韓国初上陸のブランドを含めた約1500の日本製化粧品を取り扱い、中国から韓国へのアウトバウンド需要を狙っています。
韓国の地方都市部では日本企業の誘致が積極的に進んでいます。
蔚山(ウルサン)市の投資誘致団は、2017年12月5日から7日まで東京と大阪を訪問し、投資誘致説明会や投資面談等を行っいました。蔚山市の2017年1月から11月の海外からの投資申告は13件5億396万ドル(約568億円)で、前年通期の9件2億7300万ドルを大幅に上回っています。
韓国中部忠清北道も李始鍾(イ・シジョン)知事が2017年11月に日本を訪問し、400億ウォン規模の投資誘致や輸出契約などの成果を上げたと明らかにしています。新素材メーカーの環境経営総合研究所が200億円を投じて忠清北道忠州市にバイオプラスチック工場を建設する投資協約を締結し、道内6企業が生産する食品・化粧品・医療機器の輸出契約を成立させました。
江原道は2016年に引き続いて、在韓日系企業を対象に投資団地の見学会を10月に実施し、企業担当者や日本の自治体から韓国に派遣されている職員が日系工場を視察しています。
韓国産業通商資源部が主催した日本企業関係者との懇談会の席上で、同部の金栄三(キム・ヨンサム)貿易投資室長は、日本と韓国は強力な協力パートナーになると述べ、懇談会出席者も投資協力の有望な分野として、先端新素材、エネルギー、健康管理、ロボットなど挙げています。
韓国投資を行う企業の中にはアジア向けの製品の生産を目的としている企業が多いです。
日本企業が韓国の地方都市に投資する最大のメリットはコストだと言えます。
外国人投資家向け企業団地は長期借地契約で地代が低く抑えられており、水道光熱費は日本のおよそ半分で、人件費も首都圏と比べて低い水準にあります。
釜山港は利用コストが低く、日本から輸入した部品を組み立てて、完成品を輸出する際の関税等は免除されます。日本など海外からの出資割合が51%以上の企業が指定地域に工場を建設すると、一定期間の法人税が最大100%減免されるインセンティブもあります。
100%出資が可能でリスクは小さいうえ、物理的な距離が近い韓国は日本からのオペレーションも容易に行うことができ、投資先としては有望だと言えます。
東南アジアに生産拠点を移すグローバル企業が多い中、韓国市場だけでなく、日本市場や中国市場など東アジアの生産拠点として韓国工場の建設を検討する日本企業が増えており、韓国地方自治体の日本企業誘致も相まって韓国地方部への進出が進んでいます。
日本企業の韓国への進出について注目してみました。
アパレルの流通やホテル業界、製造業など様々な企業が進出していますが、共通して言えることは、韓国向けのサービスや製品の製造と共に特に中国などの韓国以外の国への需要を見越している点があげられます。
隣国で外国人投資も積極的に受け入れている韓国を拠点としたアジアへの展開が日本企業にとって好都合で有望なようですね。
弊社では、日本企業の韓国進出のサポートを行っております。
ぜひ、お気軽にご相談くださいませ。