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人材ビジネスとしての韓国市場

近年、日本で勤務している韓国人が急増中していることはご存知でしょうか?
厚労省の報告によると、日本で勤務している韓国人の数は、平成27年は41,461人、平成28年は48,121人、平成29年は55,926人と2年連続で16%ずつ増えていることが報告されています。
※参照:厚労省 別添3「外国人雇用状況」の届出状況表一覧(平成29年10月末現在
(https://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000192073.html)
数字ではあまりピンとこない部分もありますが、実は弊社にも人材紹介会社から韓国人の人材について問い合わせが増えているんです。

そこで、今回は人材ビジネスとしての韓国市場について注目してみようと思います。

「Kムーブ」の波

「韓日つなぎプロジェクト」の推進

韓国では政府が「Kムーブ」と称し、若者が韓国国内から海外に目を向けて、海外での就職先が見つけられるように力を入れてサポート体制を整えています。

特に日本への就職支援も政府系機関である韓国雇用労働部が就職フェア「SEOUL CAREER VISION(
http://www.seoulcareervision.com/)を開催したりと
積極的に行われています。
では、韓国政府はどうして日本を始め、海外への就職支援を積極的に行うのか。
背景には韓国国内の就職事情が関係しています。

若者に厳しい韓国国内の就職事情

韓国では若者の就職難が続いている状況で、昨年の韓国教育省の発表によると、同国の大卒就職率は、67・7%にとどまっています。

韓国では大企業と中小企業の間での賃金格差が大きく、「大企業に入ること=就職の成功」と捉えられている傾向にある。
そこで就職希望先として大企業への応募が一極集中してしまい、新卒生同士の競争が激化し、高学歴や高度な資格を持った一部の者だけが大企業へ入社できる厳しい状況となっている。
一方で韓国国内の中小企業の低い給料水準は一向に変化していないことも後押しし、ますます大企業一極集中から抜け出せず、長く失業状態に陥る若者が急増してしまっているのです。y

韓国での大企業への入社は狭き門となり、大企業に入れない若者たちは就職を諦めてしまい、大学を出ても就職につけない者が溢れている現状なのです。

韓国では日本への就職がブームに

先日、《人生のリセット狙う》と題し
「学閥・資格ではなく可能性重視の日本就職が韓国でブーム」という内容の記事が韓国・中央日報から出されました。

韓国での大企業への就職を諦めた若者たちが、新たな就職先として日本に注目しているのです。

これは、日本と韓国での正反対な採用基準に依るところも大きいと言えます。

日本企業は、新卒者の入社時のスペックは重視せず、学閥や保有資格よりも入社後の長期的な潜在力を重視します。
また、国籍などによる差別もなく、新卒の外国人にも終身雇用の機会を与えるなど、日本人と変わらない待遇で迎えます。

一方で韓国企業はというと、採用に際して学閥や資格などの入社時のスペックを重視します。
新卒採用時に、学校での成績、資格、英語運用能力、社会貢献活動への参加頻度など、学生時代の経験が採用基準に大きく影響します。
特に韓国人学生の英語運用能力は総じて高く、TOIECスコアで高得点を修めても、就職活動での差別化につながりません。

事実、大企業など人気企業へは応募も殺到し、企業側もより高スペックな人材を選び放題であるといえるでしょう。

また、シビアな面も否めません。
ある企業が社員の退職に伴って人材を採用した直後に、より高いスペックを持つ者から応募があったため、先に採用した者。試用期間中に解雇して、あとから応募した人を採用した例があるといいます。

日本では仕事に必要な知識や技術を持たない新入社員の教育を体系的に実施しているので、即戦力の人材を確保するというよりも、「新人を育てていく」という韓国とは真逆とも言える体制が受け入れられているのだと言えるでしょう。

また、賃金面での優遇も大きいといえる。
韓国国内での2017年度の大企業の大卒初任給の平均は270万ウォン(約27万円)と高賃金といえるが、新卒社員では初任給が150万ウォン(約15万円)未満だった比率は、全体の54.3%に及んでいる。
物価はどんどん上がっている中で、厳しい現実だと言えるだろう。
一方で日本での平均初任給は20万円前後であり、さらに昇給も期待できるところが大きい。
大企業も初任給は高額でも、昇給が非常に遅く、日本で就職した方が長期的に多額の収入を得ることができると言えます。

人材不足な日本企業

近年、日本ではITに関連した大型投資が次々と行われ、専門労働力難が深刻になっています。
日本経済産業省によると、2030年までに78万人余りのIT人材が不足するものと予想されており、これに伴い、IT資格証さえあれば日本で簡単に職を見つけることができると言えます。

また、国際取引により世界経済が回っている今日において、英語運用能力は企業間交渉には無くてはならないスキルとして挙げられます。
しかし、日本では英語のスキルを持つ日本人学生の数は少なく、英語ができる人材も不足している現状です。

一方で、韓国では、IT産業の人材育成に国を挙げて取り組んできたため、SE(システムエンジニア)を目指して情報学を専攻する韓国人学生は多く、ITリテラシーは日本よりはるかに高いといえるだろう。
さらに、韓国は日本よりも早く英語教育が始まり、学校外でも英語学習が盛んであり、英語力をはかる試験の平均点数においても、英語圏への留学生数、英語圏大学への正規入学者数においても、韓国は日本を上回っています。

日本企業にとってITリテラシー、英語力をもつ韓国人学生はピンポイントで不足している人材を補える有難い存在と言えます。

こういった《韓国の就職難》と《日本の人材不足》が相まって韓国人による日本への就職ブームが起こっています。

日本企業の間でも、顧客との交渉は、日本人のグループリーダーや日本語を理解できる韓国人エンジニアが担当し、その後の韓国人エンジニアへの指示などは英語を活用していくことで、問題は起きず、欧米スタイルでの仕事が取り組めると評価されている。

韓国市場は人材ビジネスの宝庫

日本では今後、ますます必要とされるIT技術や英語のスキルを持つ人材の人手不足により国内の採用競争の激化が予想されます。
競争の激化により、企業は必要な採用予定数の確保が出来ず、円滑に業務が遂行できない事態にもなりかねないでしょう。

《韓国の就職難》と《日本の人材不足》は非常にマッチしており、日本と韓国の両国においてウィンウィンの状況と言えます。

日本での才能競争に参戦するよりも、隣国の韓国に目を向けて見ると、実は即戦力としても期待できる優秀な人材が有り余っているのではないでしょうか。

韓国の学生は日本と比べ、小さい頃から「競争社会」を意識させられ、厳しい受験戦争も経験しており、日本人の学生よりもハングリー精神が高いと言えます。
そのような面でも近年の日本人の学生は弱まっている内面の強さも期待できるかと思います。

企業の人材強化にあたり、今後は外国人の採用も視野に入れていかなければならないでしょう。
韓国人の人材は需要が高まっていくと予想されます。

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