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韓国の教育熱

韓国の教育というとどんなイメージがありますか?
先日、韓国では校生活と塾の両立で忙しい高校生と浪人生のために「学生優先治療」を行う病院が増えているというニュースを耳にしました。
なんでも、ソウル江南区のある病院には「高校生と浪人生を優先して診察しますのでご了承ください」との案内文が貼られおり、受付で高校生もしくは浪人生であることを証明すると、5分も待たないうちに診察を受けることができるんだそうです。
病院側が入試の準備に忙しい受験生のために始めたサービスだと言います。
韓国と言えば教育熱と言うほど、韓国の受験戦争の激しさは、日本でもよく知られていますよね。
今回は韓国の教育事情について注目してみようと思います。

韓国の教育制度

学校教育制度

韓国の学校体系は、独立以来一貫して単線型の6-3-3制が国によって定められています。
こうした教育体系を支える韓国の教育理念として憲法では、
「能力に応じた教育を受ける権利の保障」「生涯にわたる教育の保障」「創造と開拓の精神で国家建設に参加する国民精神の育成」などを規定しています。

義務教育

1984年に義務教育年限がそれまでの6年から9年(6~15歳)に延長されました。
その後、延長分(中学校1~3学年)について、無償の義務教育が段階的に導入され、2004年3月から完全実施となりました。

初等教育

初等教育は6歳入学で、6年間の初等学校で行われる。
1980年代半ばからの学齢期人口の漸減に伴って小規模校の統廃合が進み、学校数が漸減を続けているが、教員数は漸増しており、人的教育条件は次第に改善されつつあります。
なお、私立は学校数、児童数ともに1パーセント程度でその半数以上が首都ソウルに集中しています。
また、1996年から学校長は定員に余裕がある場合、満5歳児の就学を認めることができるようになり、入学年齢の弾力化が行われています。

前期中等教育

前期中等教育は、3年間、中学校で行われます。

後期中等教育

後期中等教育は、3年間、普通高等学校及び職業高等学校で行われます。
普通高等学校の入学者は共通試験の合格者を学区内の学校に抽選で機械的に振り分ける「平準化」政策がとられており、職業高等学校は学校別に選抜により入学者を決定しています。
また普通高等学校には、各分野の英才を対象にした高等学校(芸術高等学校、体育高等学校、科学高等学校、外国語高等学校)があり(普通高等学校全体の約5パーセント)、これらの高校は厳格な入学者選抜があります。

平準化とは

韓国も日本と同様に6・3・3・4制の教育制度あり、義務教育も小中学校です。
これだけ見ると日本と似ていますが、中学校と高等学校では日本とは少し違った「標準化政策」という教育制度を採用しています。
韓国では高校は、大学への進学準備を主に行う「一般系高校」と「実業系高校」に大別されます。
そして、「一般系高校」は、日本の普通高校にあたる「人文系高校」と「特殊目的高校」に分けられます。
人文系高校には高校入試がありません。
1970年代当時、高校入試のため、中学生の91%が1日4時間以上の課外個人授業を受けており、精神障害等の、いわゆる「中3病」にかかっている学生が全体の27%にも達していたと言います。
ソウル、プサンの名門校に入学するため、年に1万5000名の学生が転入しており、過熱した課外授業を防止し、初・中学教育を正常化するため、1974年、パク・チョンヒ大統領時代に「高校標準化制度」が導入されました。
これは、学力差の軽減と一流高進学のための私教育費の軽減が目的でとして、地域別に高校を指定し、抽選で学生を最寄りの学校に振り分ける制度です。
このように高校入試による格差を是正し、標準化する一方で「特殊目的高校(以下、特目高)」は外国語、体育、外国語、科学など特定分野の英才教育を目指す高校で、ここに入ることができれば名門大学に行けるチャンスも増えることから進学希望者が殺到するそうです。

韓国の塾事情

昨年3月、韓国統計庁は小・中・高校の子ども1人当たりに必要な教育費は月額27万1000ウォン(約2万7500円)で過去最高を更新したと発表しました。
しかしこの発表に韓国国民はというと、「本当に2万7000ウォン? あまりに安すぎる」と不満を漏らしているといいます。

塾代の平均は650万円

韓国文部科学省と統計庁が発表した「2017年小中私教育費調査」では、塾や習い事をさせていないケースも計算に含まれているため、実際とはかけ離れた結果になっているといいます。
私教育を受けている子どもだけに絞れば、月平均の私教育費は38万4000ウォン(約3万9000円)となる。支出金額別に見れば50万ウォン以上(約5万円)とする割合が32%となっています。
新韓銀行の調査レポートによれば、子供1人が高校卒業するまでにかかる総教育費用は平均8552万ウォン(約868万円)で、このうち塾や習い事などの私教育費は6427万ウォン(約653万円)となっています。
高騰する私教育費について韓国メディアの毎日経済は「私教育ブームは公教育の失敗が最大の原因である」と指摘しています。

小学生から塾をはしご

韓国の子どもたちは、小学生の頃から放課後になると、低学年ならテコンドーやピアノを中心に、高学年になると学習系の学院を中心に、毎日いくつもの塾や習い事をはしごしていると言います。
ソウルの児童の通塾率は72.9%で、もちろんこの数値も高いが、週5~7日も通塾している児童がそのうちの73.0%にものぼっており、塾熱が伺えます。
ソウル江南区大峙洞(カンナムグ・テチドン)一帯の道路は毎日午後6時と午後10時には塾界用語で「ライディング」という渋滞が起こるそうです。
理由はここに集まっている塾の授業が始まる時刻と終わる時間帯だからだそうで、子供の塾の送迎をする母親たちによりこの渋滞が作られるんだとか。

受験戦争

小学生の頃からこうして遅くまで塾に通い詰める理由は「大学受験」です。
韓国の大学進学率は80%ほどで、日本の55%ほどに比べても非常に高いです。
韓国では「名門校に入る=将来が約束される」という考えが強く、なによりも良い大学へ合格することが重要と考えられています。
そのため、受験戦争は年々ヒートアップしています。
日本のセンター試験にあたる大学修学能力試験当日は、国全体に緊張感が漂い、地下鉄の駅周辺に受験生のためのパトカーやタクシーが配置されたり、騒音防止のために飛行機の離着陸が調整されたりと、社会全体で受験生を優先します。
日本の感覚からすると「そこまで、、、」と思ってしまいますが、「良い大学に行かなければ良い会社に就職できない」という韓国の受験はまさに受験戦争と言えます。

過酷な受験を乗り越えてきた人材

このように韓国の子供たちは小さいころから「勉強」する習慣が当たり前のように根付いており、大学を卒業し、就職し、社会人になってからもスキルアップのために仕事の後や週末に学院に通ったりと、韓国人はとても自己啓発力が高く、勤勉だと言えます。
英語教育やIT教育にも力を入れており、スペックとしてはとても優秀な人材が多いですよ。
過酷な受験戦争を経験してきた韓国の人材は日本企業にとっても貴重なのではないでしょうか。
弊社では韓国の人材紹介も行っております。
ぜひ、お気軽にご相談ください。

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