近年、世界の中でも経済成長が著しいアジアの国々では、英語のコミュニケーション能力を持つ人材の育成に積極的に取り組んでいます。
しかし、文部科学省が公開した「小学校英語の現状・成果・課題について」によれば、日本の英語教育は、韓国、中国。台湾などのアジアの国々と比較すると、導入時期や開始学年、年間授業時間などで後れを取っていることが分かりました。
そこで、日本でも文部科学省が「アジアトップクラスの英語力」を目標に掲げ、学習指導要領の改訂を進め、2020年度から小学校3年生から英語の授業が始まることになりました。
韓国は10年ほど前までは日本と同様に「英語ができない国」として知られていましたが、韓国は2001年から2010年の間にTOEICの平均点をおよそ70点上げているなど、短期間で劇的に国民の英語力を急速に向上させたことで知られています。
今回は、そんな韓国の英語教育について注目してみようと思います。
1990年代の金泳三大統領による改革により、英語学習時期の低学年化・コミュニケーション重視への転換が行われました。
1997年から初等学校第3学年(小学校3年)以降を対象に英語が必修科目となりました。これは、中国・日本に比べ、かなり早い取り組みだったといえるでしょう。
現在では、第3・4学年では週に2時間、第5・6学年では週に3時間のが英語学習が正規授業として組まれています。
日本でも2011年度より小5・6で英語が必修になっていますが、「外国語活動」という位置づけで、韓国のような正規授業とは異なります。
また、文部科学省の調査によると、韓国の初等学校の4年間で履修する英語のボキャブラリーの数は450語程度であるといいます。
これに対し、学習指導要領によれば日本の中学校3年間で学ぶ単語数は1200程度です。 実に日本の中学生の覚えるべき単語数の4割ほどを、韓国では初等学校段階で覚えてしまうことになります。
日本でも2020年から小学3年生より英語学習が開始されることになりますが、1997年から早期英語教育を進めている韓国は早い取り組みだったと言えます。
韓国の英語教育の特徴はインプット能力だけではなく、アウトプット能力にも目が向けられている点です。
「アウトプット」とは英語を話す能力のことです。
韓国もかつては暗記型の教育一辺倒でしたが、近年ではアウトプットを重視した英語学習が広まってきており、TOEICにはSW(スピーキング・ライティング)テストがあり、日本でも2014年度で約2万4千人が受験していますが、韓国ではなんと約30万人が受験しています。
韓国では小学3年生から始まる英語の授業のうちから、スピーチすることが課題で出されると言います。
小中学校における英語の授業から自分の意見を述べるというアウトプット能力育成に主眼が置かれており、スピーキング力の高さに繋がっているのではないかと思います。
一方の日本では、市販されている高校生向けの大半の問題集が一問一答形式です。
大学進学希望者の大半が受験する大学入試センター試験は全てがマーク形式で、リーディング200点・リスニング50点・スピーキング0点・ライティング0点という構成です。
つまり、日本の英語教育はインプット重視されてしまっており、スピーキング力が欠ける原因となっています。
日本でもアウトプットを重視した英語教育が今後は必要とされるでしょう。
最近では日本でも広まってきているフィリピン留学はもともとは1990年代に韓国人がフィリピンで格安の英語学校を作り、「フィリピン留学」という英語学習ルートを開拓しました。
フィリピンの語学学校の多くは韓国資本の学校だそうです。
韓国資本の語学学校はスパルタ方式の学校が多い特徴があり、日本資本の学校に比べ長めの授業数と門限などの厳しい規則があります。
韓国では親御さんの英語教育への熱が大変強く本人の希望で留学しているというよりは、親御さんの希望で留学をさせているという学生も非常に多いため、このように厳しい規則のある学校が多い傾向にあるそうです。
「スパルタすぎるのはどうなのか」と感じるかもしれませんが、英語を勉強せざるを得ない環境なので、結果的には英語が学べていて良いのかもしれないですね。
韓国で英語教育が盛んにおこなわれている背景の一つには厳しい「受験戦争」もあると言えます。
韓国では「良い大学に行かないと良い就職先に入れない」といった風習が根強くあり、英語だけではなく、どの強化も学生たちは遅くまで塾に通うなどして必死に勉強をしています。
もちろん英語も受験を左右する必須科目なので、受験のために多くの時間を費やして勉強されています。
年々ヒートアップする韓国の受験戦争を背景に英語能力も底上げされていると言えます。
韓国人のスピーキング能力が高いということをアウトプット型の学習を重視している点でも書きましたが、もう1つの背景に韓国の貿易依存度があげられます。
韓国は貿易依存率がおよそ80%と非常に貿易依存度の高い国です。日本やアメリカの20%台、中国の30%台と比べてみれば、この経済面における韓国の海外への依存率はかなり高いと言えます。
英語圏を中心とした海外企業との交渉が必要になり、言い換えると、英語が必要な経済状況だと言えます。
このような経済状況の韓国では各企業は英語における交渉力の高い人材を求めます。
特に韓国では大企業と中小企業との賃金格差が著しく、就職先として大企業への人気が一極集中しています。
大企業に入るためには必然的に英語の能力も必要とされます。
入社後も社内昇進において、高い英語コミュニケーション力が評価される仕組みになっており、社会人になってからも仕事後に英語塾に通う人も多いと言います。
韓国での英語教育について注目してみました。
小学生の頃から英語を使って話すということを重視して、英語をスパルタに学習してきた韓国の学生たちは英語のスペックにおいては優秀な人材なのではないかと思います。
日本では「英語能力の高い人材」が不足していると言われています。
特に日本人はスピーキング能力に欠けていますよね。
英語でコミュニケーションの取れる韓国の人材は日本企業にとってもとても有望なのではないでしょうか。
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