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外国人投資促進法とは

韓国での現地法人設立において、鍵となるのは「外国人投資促進法」です。
その名の通り、「外国人投資促進法」は外国からの投資を積極的に誘致していくために導入をされました。
今回は「外国人投資促進法」が韓国での現地法人設立にとってどのような役割を果たすのか注目してみたいと思います。

外国人の国内事業への進出方法

外国人投資促進法の中身を見る前に、まずは外国人が韓国国内へ進出するためにはどのような方法があるのか整理してみます。

4つの進出方法

外国人の韓国国内への進出方法は大きく分けて4つの分けられます。
現地法人、個人事業者
支店(営業所)、連絡事務所
以上の4つです。
この中でも外国人投資促進法を適用する場合と外国為替取引法適用する場合に分けられます。

外国人投資促進法を適用する場合

現地法人

外国法人または外国人個人の現地法人設立(国内法人の既存株式などの取得含)
この場合、大半は日本本社が出資し、現地の内国法人として、新たに法人を設立します。

個人事業主

現地法人の外国人投資手続きと同様の手続きを行います。
但し、個人事業者として登録することですので、法人の設立登記の手続きを要しません。

外国為替取引法適用する場合

海外支店(営業所)

日本本社の支店として、現地法令に基づき、許可を取得します。
業種等で制限がある場合が多いです。

駐在員(連絡)事務所

市場調査等のため、小規模なオフィスで現地拠点を設立します。
原則として、営業活動ができない等の制限があります。

現地法人と支店の大きな違い

韓国進出の場合、ほとんどの日系企業が現地法人設立を選択しています。
理由としては、やはり現地法人の方が「資金調達の柔軟性」「ビザ取得の容易性」「会計処理の簡便性」といったメリットがあるからです。
現地法人は、「子会社」と言い換えることができます。親会社とは独立した会計単位で動いており、出資関係こそありますが基本的には売上も利益も支出も別々です。
支店は現地法人と異なり、本社と同一の事業体です。
隣の営業部署がそのまま海外へ移動したと考えればイメージしやすいかもしれません。
定款や社内規定は本社のものを使えることが多く、本社から何か商品を仕入れても経理処理を省略することが可能になる(社内取引になるため)など、現地法人よりは事務作業が少なくて済みます。
財布が共通なので、支店の売上でも内国法人(日本企業)の所得として日本で法人税申告をしなければなりません。
しかし、海外支店の所得は現地でも申告の義務が発生するため、「二重課税」の状態になってしまいます。この二重課税は外国税額控除制度の規定によって解消されますが、現地の低い税率ではなく日本の高い税率が適用されることになります。
海外で新規事業の拡大を目指す場合は、やはり現地法人化するケースが多くあります。
事業が異なるため独立性を重視し、事業に合った仕事の進め方や独自の社内規定が必要になる、日本の法人税率が非常に高いので税制面のメリットを享受したい、といった点が大きな理由でしょう。

外国人投資促進法の歩み

外国人投資促進法の制定

1997年のアジア通貨危機以後、韓国政府は韓国市場の開放と自由化の措置に踏み切り、投資を促進するために1998年外国人投資の誘致並びに促進を目指した「外国人投資促進法」を制定しました。
それまでは制限的・規制的であった外国人投資促進政策を「外国人投資促進法」の制定と共に、支援中心の開放的なものへと方向転換を進めます。
そのため、外国人直接投資の量的拡大に重点を置き、投資額中心のインセンティブ政策を実施するなど、大規模な外国人投資を誘致することに力を入れてきました。

外国人投資促進法の改正

2014年1月には、国内投資の活性化と海外のグローバル企業の投資を誘致するために、「独占規制および公正取引に関する法律」に加え、一般的な持株会社の孫会社が外国人と合弁し、曾孫会社に当たる外国人投資企業を設立する場合には、曾孫会社に対する持分制限(100%持分所有)の例外を認める「外国人投資促進法」が改正(法律第12225号、2014年1月10日公布、3月11日施行)されました。
つまり、一般的な持株会社の孫会社が外国人と合弁する場合、曾孫会社の株式50%以上を所有しながら、外国人が30%以上を所有できる外国人投資が認められました(個別型外国人投資)。
また、2016年には、この間投資形態別に複雑に規定していた外国人投資申告制度を単純に統合します。
既存の新株または出捐方式の外国人投資申告書、既存株取得による外国人投資申告書、合併などによる株式持分取得申告書を株式などの取得または出捐方式の外国人投資申告書の1つに統合し、株式譲渡・減少申告を廃止して外国人投資企業登録・変更登録申請に統合、外国人投資企業登録抹消申請も廃止して抹消事由の発生事実を確認した場合は職権で登録抹消ができるように制度を変更されました。なお、技術導入契約申告と資本財処分申告も廃止した。
さらに、国公有財産の賃貸売却に関する随意契約の例外条項を施行令の規定から法律に昇格立法し、未履行時の過怠料を課すことができるように規定されました。一括処理民願事務は個別法の一括処理民願事務の条項を包括的に引用するように変更し、個別法の改正事項が外国人投資促進法に自動的に反映されるように整備されます。

量から質へ

1998年の制定以来。外国人融資の投資額を拡大することを中心に進められてきましたが、次第に投資の質的高度化を追求する方向へと転換していきます。
最近では高付加価値産業への投資誘致によって投資の質を高め、外国人投資が韓国経済の国際競争力・成長潜在力強化と雇用創出につながるように政策を立案・運用しており、これによって究極的には韓国が世界10位以内の投資受入国に成長できるように努力しています。

外国人投資とは

外国人投資を満たす基準

「外国人投資促進法」では、投資金額と持分比率等一定の条件を満たす外国からの投資を外国人投資と位置づけて、外国人投資に対する減税制度などが規定されています。
具体的には下記の2つの条件を満たすことで、「外国人投資促進法」における外国人投資となります。

1. 一人当たりの投資金額が1億ウォン以上であること
例えば、日本企業A社と日本企業B社が共同出資して韓国に現地法人を設立する場合、韓国の商法上株式会社の最低資本金は1億円ウォンとなっておりますが、A社5,000万ウォン・B社5,000万ウォンの出資では「外国人投資」には該当しません。

2.持分率10%以上を所有する投資であること
例えば、日本企業が韓国企業の株式を1億ウォンで取得した場合、持分比率が10%以上であれば外国人投資に該当しますが、10%未満の場合は、①の投資金額の要件を満たしていますが、基本的には外国人投資に該当しない、ということになります。
※ ただし、以下の場合には、持分率が10%未満でも外国人投資としての申告が可能となります。
―韓国企業の議決権のある株式総数の10%未満の株式を所有する場合、その韓国企業と下記の項目のうちいずれかひとつの契約を締結すること。
(1)役員の派遣、または役員を選任することができる契約
(2)1年以上の期間に原資材または製品を納品するか、または購買する契約
(3)技術の提供・導入、または共同研究開発契約

外国人投資促進の展望

韓国国内では若者の就職難、失業率の高さなどが年々深刻化しています。
就職難を悪化させる大企業への一極集中を緩和させる目的としても、今後も外国人投資を促進して、現地法人への就職を促したいと考えています。
外国人投資促進法により、外国企業も韓国へ進出がしやすくなっているとはいえ、まだまだ改善点も見込めます。
韓国政府もより外国人投資を誘致しやすいよう、ワンストップの問題解決体制の構築、外国人投資に係る各種規制・制度の改善、投資を妨げる規制の改革、産業競争力強化につながる投資の支援の4つの政策を積極的に展開しております。
今後も日系企業の韓国への現地法人設立はより拡大されていくでしょう。

弊社では韓国での現地法人設立のサポートをさせていただきます。
ぜひ、お気軽にご相談ください。

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