囲碁の史上最年少棋士として、今年4月にデビューする大阪市の小学4年生、仲邑菫(なかむらすみれ)さん(9)が23日、韓国・ソウルの韓国棋院で、世界トップ級の韓国の女流棋士、崔精(チェジョン)九段(22)と最小ハンディで対局しました。
勝負は、崔九段が中押し勝ちしましたが、9歳のすみれさんの活躍はすさまじいですね。
仲邑さんは昨年5月、韓国棋院のプロ候補生「研究生」になり、108人の研究生の中で最年少の仲邑さんの活躍は現地で注目され、テレビ出演もしています。
仲邑さんは「テレビが多く、とても緊張した。崔精九段は強かった。プロ棋士として戦うことになったら、頑張りたい」と話していたと言います。
実は囲碁大国の韓国。
すみれさんも7歳のころから韓国にある囲碁学校で囲碁の特訓をしていると言います。
今回はすみれさんの強さの秘密と韓国での囲碁特訓に注目してみようと思います。
韓国や中国は、国をあげて囲碁のプロ育成に力を入れていて、囲碁専門の小学校もあるほどです。
囲碁道場も日本より圧倒的にたくさんあり、子供の囲碁人口も多いので、レベルの高い子供も日本の比ではないようです。
すみれさんは両親の影響で3歳で囲碁を始めましたが、7歳から家族で韓国・ソウルに渡り、たびたび現地の囲碁道場で最長1日11時間にも及ぶ特訓を重ねていると言われています。
すみれさんは、文字通り韓国で囲碁漬けの日々を送り、平日は名門「韓鐘振(ハンジョンジン)囲碁道場」で、週末は韓国棋院で対局を重ねているのだと言います。
小学生のすみれさんはもちろん日本の小学校に通っています。
平日は日本で小学校に通い、週末は韓国へ移動して囲碁道場での特訓をされており、非常に厳しいスケジュールをこなしていますね。
すみれさんが通う韓鐘振(ハンジョンジン)囲碁道場は、ソウル市の城東区馬場路の、韓国棋院の近くにあります。
師匠である韓鐘振(ハンジョンジン)九段は韓国の囲碁界の重鎮で、若い棋士の育成にかなり力を注いでいる方だそうです。
韓鐘振師匠は国籍問わず、若い騎士の育成に熱心で、すみれさん以外にも日本の騎士では大西竜平三段(現在18歳)も韓鐘振師匠から特訓を受けたそうです。
大西さんは小学5年生(11歳)から韓国の囲碁道場にて修行を始め、第41期新人王戦に優勝し、棋道賞勝率第1位を受賞しています。
幼い頃から韓国と日本を行き来しての生活は大変かと思いますが、やはり韓鐘振囲碁道場で教わった成果が大きいのではないかと言えますね。
道場によってスタイルはさまざまですが、韓国のたいていの囲碁道場は学校授業を終えた午後1時20分から午後9時までが正規就業時間で一部道場は午前9時から始める所もあるそうです。
囲碁専門の小学校や朝から始める道場の場合、子供たちは朝、学校に顔を出すとすぐに道場に向かい、夕方まで囲碁の勉強をする子が多いとか。
1日10時間以上、囲碁の勉強をするのだそうです。
そして、韓国の囲碁道場に入るには、誰でも入れるというわけではありません。
日本の囲碁界でもそうですが、プロになる前段階に研究生という身分があります。
道場に入った子供たちは、 たいてい入段直前の研究生身分である場合が大多数で、最低でも研究生を目前に控えている子供たちが道場に籍を置いているので、レベルはかなり高いと言えます。
また、韓国では囲碁のみはなく、スポーツなどの分野で幼い頃から素質があり、プロを目指す子供は義務教育よりも専門分野の特訓を重視しています。
つまり、本来ならば小学校で算数や国語を勉強する時間に囲碁の特訓をすることが許されるのです。
日本の場合は義務教育はきちんと受けなければならず、そのあたりは賛否両論があるかと思いますが、韓国とは異なります。
かおりさんは韓国の道場で特訓をしていますが、もちろん使われる言語は現地の韓国語です。
22日にソウルで行われた会見では韓国メディアからの質問も多くありましたが、流ちょうな韓国語で回答をしていて、韓国語もとても得意なようです。
質問にも堂々と回答していて、9歳ながらにしっかりしたと芯の強さを感じました。
道場主の韓鐘振九段いわく、韓国の女流棋士、現在世界一の崔精(チェジョン)九段に劣らないレベルで、上達のスピードで言えば、仲邑菫さんの方が上だと言います。
すみれさんの記者会見にも現地メディアが数多く集まり、とても注目されていることが伺えます。
仲邑菫さんの経歴や韓国留学について調べてみると、幼い頃から持ち備えた才能と、なんといっても日本での小学校の授業と韓国での囲碁道場での特訓というとてもハード生活をこなしている姿には圧倒されますね。
幼い頃からとても努力をしている彼女に今後も期待が高まりますね。
韓国のこうした特定の分野への特訓の熱の入れ方も非常に面白いです。
日本では義務教育を重視しますが、特定の分野を徹底的に伸ばすという観点では韓国の考え方も学ぶところがあるのかなと感じます。